創業記念日を迎えたフクロウラボ 。次の一年は次のステージへ
フクロウラボ は、11月15日で創業9年目をむかえました。創業記念日のある今週は、これまでの一年と次の一年について、フクロウラボ の代表の清水翔さんにお話を聞きました。
聞き手:出川 光
苦しかった「変化の一年」
──フクロウラボ の創業記念日、おめでとうございます。この一年を振り返ってみてどんなことを感じていらっしゃいますか?
苦しかった一年だったなと感じています。会社のステージが変わるタイミングで社長である僕にもアップデートが求められていましたが、それをうまくできなかったなと。期待されている状態まで至れていないように思います。
──フェーズが変わるというのは、どのようなことなのでしょうか。
上場を目指し準備しているフクロウラボ の状態は、例えるならば村から町へ変わろうとしているタイミングです。町に変わる時に信号機やルールが必要になるのと同じように、フクロウラボ も新しいルールや制度を作り、長く会社を運営できる状態にならなければなりません。僕のあり方や仕事もその中で変わる必要があるのですが、期待されていることを具体的に定義できなかったり、まだ適応できなかったりして、苦しかったですね。
──確かに、取材をしていてもあらたな制度や取り組み、ミッションの策定など、さまざまなことが整っていくのを感じていました。
ミッションのような抽象度の高い会社の意義を定義したり、行動指針をバージョンアップさせたのは、まさに会社のフェーズが変わるにつれてそういったものが必要になってきたからです。新規事業を行う時などに意義を考える必要が出てきたり、社員数が増え僕が直接コミュニケーションする機会がなくなったので、仕事の仕方を担保するために行動指針も見直しました。浸透しているかはわからないですけど、まずは作った、というところです。
──清水さんはメンバーの変化や理解などに求めるハードルが低めですよね。「浸透しているかはわからないけど」とおっしゃっていますし。
僕が従業員だったら変化にともなってルールが増えたら面倒だなと思うし、ミッションやバリュー、行動指針があって、いいなと思っても理解して実践するまでは時間がかかるだろうなと思うので。僕ですらまだアジャストできていないわけですから。
──そんな中でも、この一年で見えてきた変化もあったのではないでしょうか。
ひとつ挙げるとしたら、エンジニアチームが週に三回朝に勉強会をやっていることです。誰に強制されているわけでもなく、みんなで自己学習して、自己研鑽していこうとしているのって、すごいですよね。もっと学んで、生産性をあげるという習慣が、文化と呼べるくらいできあがっているのは、この変化のフェーズで出てきた素晴らしいできごとのひとつだと思います。
事業の柱を増やして、もっと「無駄なこと」をやりたい
──次の一年で目指すことについても伺いたいです。
次の一年で目指すのは、新規事業を次の事業の柱だと言えるようにすることです。社内の人が「次の事業として期待できるような状態になった」と思えるようになるのがゴールです。
──新しいもので言うと、先日取材させていただいたOrdinaryなどでしょうか?
複数の新規事業のなかで新しいものはそれですね。今時点ではまだプロダクトマーケットフィットできていなくて苦戦していますが、改めて要件を定義して、次の事業の柱だと言える状態にしたいですね。いろいろと今準備しているものがあるので、ユーザーの反応が勝負どころです。
──楽しみですね。
さらに、新規事業はもうひとつ作ろうと考えています。僕がコミットして起案するものを考えています。これまでフクロウラボ は広告事業のワンプロダクトでやってきましたが、長く会社をやり続けるためには新しい事業をつくる必要がある。広告事業が元気なうちに、次の事業の柱を作るのが次の一年の目標です。
──事業以外の観点で、次の一年でやりたいことはありますか?
そうだなあ。もっと「無駄なこと」をやりたいなと思っています。
──無駄なことですか?
例えば偶然通りかかったメンバーとの雑談から、アイディアが生まれることや、相手のことが分かり合える瞬間ってあると思うんです。リモートワークのおかげでその重要さを身をもって知った一年でした。次の一年では、そういう余白や偶然のような無駄があることで、お互いをもっとわかりあい、気持ちよく働けるようにしたいなと思っています。それに、もしかしたらそういうところから次の事業が生まれるかもしれないですから。
(写真・文:出川 光)