「嵐」に魅せられて日本を選び、フクロウラボで海外営業に挑むまで
アイドルグループがキャリアまで変えてしまうことがあるなんて。フクロウラボで海外営業を担当し、主に中国のクライアントを受け持つ王 明麗(わん・みんり)さん。中国から日本のカルチャーに魅せられ、働くにいたるまでのお話と、現在のお仕事について聞きました。
勉強ひとすじの学生生活から、「嵐」に魅せられるまで
──王さんは中国で生まれて育ったんですよね。日本語がペラペラなのでびっくりしました。
はい、中国生まれ、大学までずっと中国育ちです。日本語は、そうは言っても6年居ますから。でも子供の頃からの勉強の癖が実ったのかもしれないです。
──というと、子供の頃から勉強熱心だったのですか?
あちら(中国)では、いい大学に行けなければ終わりというような雰囲気があるんです。なので大学まではずっと勉強の日々を過ごしていました。寮で朝の6時から夜の11時まで勉強する毎日を大学に入るまでずっと過ごしていましたね。髪の毛も短く切って。まずは大学に入らなければという一心でした。
──大学に入ってやりたいことはありましたか?
というよりも、自由に楽しく生きたいなと思っていました。だから、大学に入って自由な時間ができてからは自分の時間を楽しんでいました。
──どんなことをしていたんですか?
もともと日本の漫画が大好きなんです。少年ジャンプに載っているような漫画が好きで、それを読んだり、大学一年から嵐にハマってとにかく全てのテレビ番組を見まくりました。
──嵐がお好きだったんですね!
もう、好きなんてものではないですよね。大好きで......。ほとんどのテレビ番組やDVDを見て、嵐が話していることがわかりたくて日本語を勉強しました。私が日本に来たのも、嵐のコンサートに行ったりテレビを見たいからという理由だったんです。
──すごい理由!ご両親にもそう話して日本に来られたんですか?
言ってみましたけど、学業優先の教育方針だったので、「いい大学院に入れたらいいよ」という答えでした。それならばと大学院を探してみて、興味のある研究をしている大学の教授に手紙を書いてみました。そうしたら研究生として迎えてもらえることになって、めでたく日本に来れたというわけです。
ライフワークバランスの「ライフ」が大事。日本で働く理由
──日本にきてみて、カルチャーショックなどはありましたか?
銀行が15時に閉まるのにはびっくりしました。あと、中華料理屋さんのメニューがあんかけばかりなこと。あれ、中国ではあまり見かけないんですよ(笑)
──お仕事についても聞いていきたいと思います。日本で働こうと思ったのは理由がありますか?
ライフワークバランスを大事にして、「ライフ」のほうも楽しみたかったからですね。中国のIT企業では、「996」という言葉が流行っているくらいなんです。9時から9時まで、週6日働くという意味なんですが、大手のIT企業なんかはみなこんな感じの働き方になってしまいます。それでは自分の生活ができなくなってしまうから、日本で働くことを選びました。
──フクロウラボは3社目だと聞きました。選んだ理由はどうしてなのでしょう。
前職で広告の代理店にいたので、また広告の仕事にしようと思っていました。それに加えて、営業にチャレンジしてみたかったんです。前職では営業を担当していなかったのですが、自分がやったらどうなるだろうという興味がありました。それに、面接もオンラインでとてもスムーズで。最初から社長の清水さんが出てきてくれて話してくれたのも嬉しかったし、最終面接で「慣れるまで時間がかかるから、すぐに結果が出なくてもいい」と言われた時には驚きました。こんなふうに個人を大事にする会社で働きたかったので、フクロウラボに決めました。
文化の違う国のあいだで営業をやるやりがい
──実際のお仕事のやりがいはどんなところにありますか?
中国系企業はとにかく案件数が多いんです。会社の数も多いですし、リリースするアプリやゲームの数も日本よりも多い。だから経験できる案件が無限にあります。やりがいを感じるのは、いちユーザーとしてクライアントの作ったゲームやアプリを体験できる時ですね。スマホで誰もがいいアプリやゲームを探している時代に、その営業ができているのは幸せなことだなと思います。
──文化の違う国同士の営業をやるのは大変なこともあると思います。
一番苦労するのはお互いのスピード感の違いですね。海外の企業は広告配信を止めるのも「今すぐに止めてくれ」というスピード感です。対して日本の企業では「配信ストップまで5営業日かかる」ということもざらです。このギャップを埋める交渉が難しくもあり、楽しいですね。フクロウラボはスピード感も早いし柔軟な体制なので、交渉の時も助かっています。
──これから挑戦したいことはありますか?
短期的にはいいパフォーマンスを出したいし、もっと案件を獲得したいですね。長期的には、新規事業をやったり、アプリの運営をやってみたりしたいですね。今まで自分が広告運用をしていたアプリに運営で関わってみたい。ライフを大切にしながらも、新しいことに挑戦していきたいです。
将来、嵐に関わる仕事をしたい気持ちはあるんですか?と聞いてみたら、うーん、うーん、と真剣に悩んでいた王さん。仕事のやる気を出したい時にはテンポの速い嵐の曲を聞いているのだそうです。嵐からもらった原動力と持ち前の努力で、今日も海外企業との交渉に挑みます。
(文:出川 光)