拡大するフクロウラボと、変化する役割。執行役員、現在の視点
まだフクロウラボのメンバーが数人の頃から、現在まで、フクロウラボのビジネスサイドをみてきた執行役員の有岡卓哉(ありおか・たくや)さん。組織の変化に伴って、見ている景色も変わってきました。これまでのこと、そして現在の役割や視点についてお話を聞きました。
フクロウラボとの出会い
──これまでもインタビューしたことが何度かありますが、あらためて有岡さんのこれまでのキャリアなどをおさらいさせてください。最初は、営業をされていたと記憶しています。
はい。2006年に新卒でアドウェイズ という会社に入社し、営業をしていました。その後GREEに転職して、職種も少しずつ変わっていきました。広告運用や、プロダクト企画の仕事に携わったのです。フクロウラボの代表の清水さんと出会ったのも、この時期でした。
──そして、清水さんに声をかけられてフクロウラボに入社されたんですよね。この時、フクロウラボはどのくらいの規模だったのでしょうか。
メンバーは数人で、関わってきた組織の中で最も規模が小さいものでした。当時からいつか出身の高知に帰って、場所にとらわれずに仕事をしたいという思いがあったことから、経営に関わりたいという希望を持っていました。そのためには規模の小さな会社の立ち上げはぴったりで、ビジネスサイドとして入社しました。といっても、10ヶ月くらい悩んで決めたんですけどね。
──当時のフクロウラボの事業はどんなものだったのでしょうか?
ディープリンクのサポーターを作っていました。ディープリンクは、リンクを踏むことでアプリの指定した画面を表示させるための機能ですが、その実装サポートツールを作っていました。
──最初は今の広告事業はなかったんですね。
そうなんです。このディープリンクの基礎設計がアフィリエイト広告のそれに近かったので、僕が入社して半年後ぐらいにピボットし、現在の広告事業ができました。
──ビジネスサイドとして入社したということですが、この時どんな仕事を担当されたのでしょうか。
アフィリエイト広告事業を行うための必要な要件を固めるプロダクト企画から、広告主とメディアに対する営業まで、幅広く担当していました。GREE時代にプロダクト企画の仕事をしていたので、開発に必要な仕様を決める勘所のようなものは持っていたのだと思います。さらに、営業も経験していたので、今までの経験を生かして形にしていきました。
──営業までやっていたというのには驚きます。この時の営業の仕事はどんなものだったのでしょうか。
メディアのリストアップ、資料作成など、なんでもやりました。まだ仕組みがなかったので、自分で作る必要があったのです。当時は営業に清水さんも出ていましたし、役割に囚われずになんでもやる必要があるような組織のサイズでした。
──この時期は、どんなことに苦労したのでしょう。
人も増やさなければいけないし、営業の仕組みも、プロダクト作りもしなければいけないというように、やることが山積みでした。一方で、本来ならば経理の方が担当するような集計や支払いなども手作業で行っていたりして。組織を大きくし始めることと、日々の仕事の両立に苦労していたと思います。
──それが今では、大きな組織になりましたね。
そうなんです。ここ2年くらいで、これまで僕が目を通していた契約書を誰かに見てもらえるようになったり、面接に他の方に出てもらえるようになったりと、預けられる仕事が増えてきました。組織が大きくなったことを実感しています。
規模と共に変わっていく役割
──組織の拡大に伴って、有岡さんの役割も変わってきたのではないかと思います。
2018年に執行役員になり、それからは明確に管轄が広告事業になりました。この広告事業の中に部長が生まれ、マネージャーが出てくる、といったように組織の階層が少しずつ細かくなり、組織そのものが大きくなっていきました。また、かつては僕が広告事業のプロダクトを、清水さんが広告事業の営業を担当していましたが、今は僕が広告事業全てを担当し、清水さんが新規事業にリソースを割けるようになりました。
──組織のサイズが大きくなって階層が増えていくと、みている視点やレイヤーにも変化がありそうです。
そうですね。今は戦術部分はほぼお任せしていますし、マネージャー以下のメンバーのマネジメントやケアは部長にお願いできるようになりました。僕は半年、1年、2年といった中長期の動き方を考えたり意思決定を行い、プロダクトや営業の戦略を練ることが主な役割になりました。Circuit Xのプロダクトオーナーとして、方針や開発優先度、要件を決め、それをどう売るのかを考えています。
──任せられる仕事が出てきた一方で、戦略を練るのはとても難しいのではないでしょうか。
まだ見えていない動きを予測してまとめ、戦略にしていくのは僕にとって初めての経験です。試行錯誤して、清水さんやCFOの竹下さんに相談しながら決めています。僕は放っておくと内にこもってしまうタイプなので、もっと同じプロダクトオーナーの方とのつながりなども作っていきたいなと思っているところです。
──内にこもるタイプ、というお話が出ましたが、何かに迷った時などはどんな風に意思決定をしているのでしょうか。
清水さん、竹下さんなどに相談することもありますが、参考にしたい人の検討から意思決定までの流れを自分の中で再現してみる方法もよくとります。「あの人だったら、こういうふうに考えるだろうな」と思考プロセスをトレースしてみるのです。これまでは前職の先輩の思考プロセスを想像することもありましたが、フクロウラボに入ってからはそれが清水さんになっていきました。「清水さんならどうするかな」と考えてみると、答えが見つかることがあるんです。
──実際にフィードバックをもらうのではなく、ですか?
もちろん相談することもありますが、清水さんは「お任せします」というタイプですし、違う方向に進んでしまったら止めきてくれることを知っているので。必要な時に報告するようにしています。
──信頼関係があるからこそ、できることですね。
IPOによる変化が楽しみ
──オフィス移転も控えて、フクロウラボにあらたな変化のムードを感じます。最近の仕事での変化があれば教えてください。
IPOを目指す決定をしてからは、予算の概念や予実管理の粒度が変わりました。また、評価制度も変化したので、目標管理や進捗管理なども以前とは違うものになってきたと思います。これまでは目標や着地予想は予想するのが難しいもので、ある種占い師のようなところもありました。けれど、その確実さが求められ、下振れはもちろん、上振れも好ましくないという状況で、なかなか苦労しています。
さらにそれを営業メンバーに求めるのは、これまでの文化になかったことなのでまた難易度が高いのです。会社として伸ばしたい予算と現場の手応えを調整し、実際に営業にあたるメンバーにただ数字を伸ばすことを求めるのではなく、「ここに市場があるから伸ばせるよね」とそのプロセスを描いて見せられるように努めています。
──ということは、まだ伸びそうな市場があるということでしょうか。
あると思いますよ。ライブ配信アプリなど、新しいアプリの市場ができあがっているものなどもあり、常に新しい市場が作られているのがこの事業の面白いところです。また、日本だけでなく、中国などの海外の市場もこれから期待できると思います。
大切にしている「期待の把握と価値提供」
──フクロウラボの拡大に伴ってさまざまな役割を試行錯誤しながら遂行してきた様子が伝わってきました。仕事をする時に大切にしていることがあれば、ぜひ教えてください。
自分への期待を把握することと、それに対する価値提供を意識することです。まだまだやれていないことがたくさんありますが、それも期待を把握することの一部ですね。
──なるほど。今最も意識している価値提供があるとすれば、どんなことなのでしょうか。
やはりIPOをやり切ることですね。会社としての視座を上げるのに必要なポイントだと思うので、僕自身もこれにきちんと役立てるように意識を置いています。これによって、僕個人の見える景色が変わるのも、また楽しみなんです。
(写真・文:出川 光)
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