期待を認識し、責務をまっとうする。フクロウラボが従業員にずっと求めていくこと
「コトに向き合う」「配慮しあう」「期待を超える」。フクロウラボのバリューです。この言葉に表される、フクロウラボの従業員に求められる働き方、仕事の仕方、お客さまとの向き合い方とはいったいどのようなものなのでしょうか。フクロウラボで働く人にも、そうでない人にも。代表の清水さんに、お話を聞きました。
ずっと求めてきた「お客さまへの価値提供」
──フクロウラボのバリューには「コトに向き合う」「配慮しあう」「期待を超える」がありますよね。今日はこれらにも表れている、「清水さんがフクロウラボで働く人に求めているもの」についてお話しいただきたいと思います。フクロウラボ設立当初から、求めるものは同じだったのでしょうか。
そうですね。フクロウラボだからということではなく、仕事である以上、これらはクリアしているべきことです。お客さまからお金をいただいて仕事をする以上、やるきるべきことをバリューにしているのです。なので、会社を立ち上げた当初から考えは変わりません。それをあらためて言語化し、メンバーに伝え始めたのはフクロウラボが10人、20人の規模になった時でした。
──どうして言語化しようと思ったのでしょうか。
従業員のうちの一部のメンバーの仕事の程度が足りていないと感じたからです。お客さまに喜んでいただける仕事になっていなかった。それを説明する中でこれらの言葉が出てきました。バリューはその後一度アップデートしましたが、伝えたいことは同じです。そして、これはどんな仕事でも同じなのではないかと思います。
ラーメン屋さんで、ラーメンに1,000円払うとしますよね。1,000円の対価をいただいた分、お客さまがどうしたら喜んでもらえるかを考える上で、どんなラーメンが求められているかのを想像したり、新しい商品を企画したり、おいしいラーメンを作ったりしていい仕事をしようとすることが期待されているはずです。僕はこれを「お客さまへの価値提供」と呼んでいます。
──「コトに向き合う」「配慮しあう」「期待を超える」は、「お客さまへの価値提供」を生むための行動だということですね。
「期待を超える」は、お客さまの期待をがどんなものなのか認識し、それを超える仕事をするということ。「コトに向き合う」は、責務をまっとうするということです。それは仕事や、役割をやり切るということ。これらをやり切るため、また、時には助けてもらうために「配慮しあう」ことが大切なんです。
──なるほど。「お客さまへの価値提供」とフクロウラボのバリューの関係が少しずつわかってきました。
ヒアリング、観察、想像によって期待を認識する
──「期待を超える」について、もう少し教えてください。そもそも「期待」のラインはどう決まるものだと思いますか?
お客さまの「期待」を認識するには、まずお客さまのことをよく理解する必要があります。ニーズや課題をつかむことで、お客さまがどんなことを期待しているのかがわかってくるはずです。お客さまにヒアリングするのはもちろん、数字やファクトを集めたり、お客さまのサービスを使ってみるのもひとつの方法。また、お客さまの商品やサービスがどんな風に使われているのかを見てみることも大切です。僕はこれを「観察」と呼んでいます。
──ヒアリングするだけではないんですね。
はい。こんな話を聞いたことがあります。マクドナルドが顧客にヒアリングをした結果をもとに野菜をメインにしたバーガーを作った。けれど、売れ行きはふるわず、結局マクドナルドに来る時に顧客はジャンクなものを求めていたことがわかった、というエピソードです。この顧客は、ヒアリングされたときに嘘を言っていたのではありません。自分のことでも、何を求めているかがわかっていなかったのです。「観察」は、こうしたお客さま自身もまだ気づいていない課題やニーズの発掘に役立ちます。
──ヒアリングや情報収集、観察をした後、どんな風に期待を探り当てれば良いのでしょう。
想像することです。お客さまはこれに困っているのではないかということをまず考える。そして、それを「これってニーズありますかね?」「これ面白いんじゃないですかね?」と小さくとも提案することで、お客さまの本当の期待を引き出すことができます。
──これらは営業に限った話なのでしょうか?
いいえ、全ての仕事で言えることだと思います。例えば開発がビジネスサイドからUIの修正を頼まれたとします。その時、なぜ相手がそのUIを選んだのかをヒアリングしたり、観察し、想像力を働かせることで、そのUIの背景にある期待を認識することができるのです。
──こちらが想定していた期待が本来のものと違った時はどう軌道修正するのがよいと思いますか。
想定していた期待が的外れなものだったというのは、よくあることです。大切なのは、期待をきちんと確認して、フィードバックをもらってPDCAをまわすこと。営業なら「合っていますか?」「期待に応えていますか?」と細かくお客さまに確認を求めれば、軌道修正を重ねて、お客さまの期待を認識することができ、「期待を超える」ことができるのです。
責務をまっとうするには「スピードが大事」
──「コトに向き合う」は、責務をまっとうすることだと先ほどお話しいただきました。責務をまっとうするとは、具体的にどんなことなのでしょうか?
先ほど、お客さまの期待を認識することについてお話ししましたよね。「コトに向き合う」は、その期待を超える仕事をすることです。
──先ほどのお客さまへのヒアリングの例に続けると、広告の掲載・運用などですね。ここでは、どのような状態が責務をまっとうしている、つまり「コトに向き合って」いると言えるのでしょうか。
お客さまに提供する価値を上げるには、「スピードを早くする」、「量を増やす」、「質を上げる」という3つの方法があります。この中で最も簡単にできるのがスピードを早くすること。提案やリアクションを早くするのは社歴が浅くても知識がなくてもすぐにできる。
取引先からメールが返ってこず「対応漏れかな」「無視されてるのかな」「仕事をしていないのかな」と心配になることはよくあることです。ステータスを早く明示することは、最も簡単で効果のある価値の上げ方です。
──清水さんご自身も、いつもすごいスピードで返事をくださるのが印象的です。やはり意識されているのですか?
社長になってからはより一層スピードを大切にしています。社長の仕事は承認やレビューが多いので、私のアクションの遅れで誰かの仕事を止めないように気をつけています。もちろん、スピードより丁寧さが求められるお客さまもいるのでケースバイケースですが、多くの場合はスピードが大切です。
──実施のクオリティの確認方法についても教えてください。良い仕事ができていたかは、どのように振り返ることができるでしょうか。
お客さまや依頼相手に確認してみるのが良いのではないでしょうか。仕事に対する最高の評価は「あなたが担当でよかった」「これからも取引したいと思っています」と言っていただけること。フクロウラボのビジョンである「かけがえのないパートナーになる」は、そうやって指名していただけるほどの関係をお客さまと築きあげることです。
フクロウラボの「当たり前」はいつかあなたのためになる
──ここまで清水さんがフクロウラボの従業員に求めることを、バリューやビジョンを引きながらお話しいただきました。最後に伺いたいのは、なぜこれらを、求め続けていくのか、です。
単純に、そのほうがいいと思っているから、です。お客さまに価値提供して、信頼してもらわなければ、一緒に仕事をしてもらえません。そのためにはこの取材でお話ししてきたことが大切で、かつ、当たり前のことでもあります。これらができることは、会社のためになるだけでなく、従業員本人のためにもなります。
──従業員本人のため、ですか。
フクロウラボから転職しても、仕事を辞めても、その人の「あり方」が問われる機会は必ずあります。お客さまに価値を提供する方法や姿勢は、プライベートでも必ず役に立ちます。だから僕は従業員と話す時、マネジメントや意思決定の経験をすることで人間として成長できるはずだから、「マネジメントに向き合おう」、「部下に向き合おう」、「仕事に向き合おう」、と話しています。それが彼らのためになるはずですから。
また、最後に大切なことをひとつ。大変な時に周囲に助けを求めることを忘れないこと。恋人と別れた、ペットが死んでしまった、好きなミュージシャンが解散した。色々な出来事で心のバロメーターは変化します。それが、いい仕事ができないところまで振れてしまったら、まわりに助けを求めてほしい。その時に助けてくれる人間関係を作るために、「配慮しあう」ことが大切なんです。
よく、責任感が強すぎて仕事を抱え込んでどうにもならなくなってしまう人がいますが、お客さまへの価値提供を第一に考えればちゃんと助けを求めることができるはず。
期待を認識し、責務をまっとうし、時には助け合えるように配慮しあうこと。これがフクロウラボの従業員に、これまでも、これからも求め続けていくことであり、それが僕にとって何よりの、お客さまを大切にする姿勢を貫く方法です。
(写真・文:出川 光)
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