見出し画像

経営陣も勉強してます。フクロウラボ の「竹下塾」について聞きました。

フクロウラボ には自主的に学び、お互いに知識やスキルを磨き合う文化があることはこれまでの記事でもお伝えしてきました。なかでも勉強会はフクロウラボ らしい取り組みですが、経営陣にも勉強会があることをご存知だったでしょうか。今回は、経営陣の視座を上げるために始まった「竹下塾」について、主宰の監査役である竹下 謙治(たけした・けんじ)さんにお話を聞きます。

聞き手:出川 光

──今日お伺いしたいのは「竹下塾」についてです。どんな「塾」なのでしょうか。

何も難しいことをしているわけではありません。フクロウラボ の代表の清水さんと話しているときに「経営の本で読んでいるものはありますか」とお尋ねいただいたことがきっかけで始まった読書会です。

──なるほど。本を決めて、みんなで読むのでしょうか?

本は、メンバーから読みたいジャンルなどを聞いて私がおすすめの一冊を選ぶケースが多いです。それを事前に読んできていただいて感想を言い合ったり、ランダムに話し合うのが「竹下塾」です。実際にオフィスの会議室に集まって30分行っています。

──その中で竹下さんから経営について教えていただくパートもあったりするのでしょうか?

いえいえ、教えている感覚なんてないんですよ。そもそも経営に正解なんてありませんからね。みんなで知識を深めて、一緒に考えていく会だと思っています。

──ちなみに、経営陣以外はやっぱり参加できないのでしょうか。

そんなことはありませんよ。誰でも参加できますし、Slackでは読むと決まった書籍を紹介していますし、本は会社の経費で購入することができます。これまでもちらほらと参加してくれた社員の方がいました。ハードルを高く感じる方もいるのかもしれませんが、こちらはいつでもウェルカムです。

──さすが、フクロウラボ らしいオープンさがありますね。

経営陣のニーズに合わせて選書し、ひたすら読む

画像1

──主に竹下さんが本を選ぶのでしょうか?

そうです。経営陣や清水さんから「こんなことが知りたい」とリクエストをいただいて、それに対して本を選んできます。経営陣のみんなとコミュニケーションをする中で「これが必要だな」とか、私の好きな感じて選んでくることもあります。

──本を読むことによるメリットはどんなものがあるのでしょうか。

ひとつは、読書を通じて著者と対話ができること。思考や経営センス、戦略に関わる本が多く、今はこういった内容も動画とかでもいいコンテンツはあるのですが、なんか小手先で学ぶ感もあり、そういう意味で本から吸収すると、なんか体に染み込ませることができるというか、、これがいいんですよね。本を読みながら思考し、イメージし、一緒に答えを出していくことが大切だと考えています。

──実際に経営陣の視座が上がってきたなと感じることもあるのでしょうか。

もちろんです。例えば、「事業戦略」「経営戦略」など、経営会議で使われる頻度の高い言葉の定義が揃ったこと。全員が同じ本を読んでいますから、ともするとふわっとしてしまいがちな言葉が何を指すのか具体的に握り合えているんです。そうすると話の精度も上がってきます。当たり前のことのようですが、こういう言葉の定義が揃っていない会社は意外にも多いんじゃないかと思ってます。

──知識が増えるだけでなく、実際の仕事にも生きてくるんですね。これまでで印象深かった「竹下塾」のエピソードはありますか?

一度、とんでもなく不評だった本がありましたね。全員が口を揃えて「わけがわかりません!」となって。経営センスをどう磨くか、というテーマの本だったのですが、「そもそもセンスなんていらないのではないか」と当時はフィットしなかったみたいです。けれど、それでいいんです。様々な本を通して多様な価値観や経営観に触れてみて、反応することでお互いの思考がわかってくる。そうすれば、それに基づいて会話をしていくことができますからね。ちなみにその本は、今読めばまた違うリアクションが出てくるんじゃないかな。

年末年始に一冊。「竹下塾」おすすめの本を一挙に公開

──ここで、せっかくなので読者のみなさんにも「竹下塾」の本のリストをご紹介したいと思います。

いいですよ。では、僕のひとことコメントとともにご紹介しましょう!まずは読みやすいものから。

「逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知」
杉浦泰さんと楠木建さんによる本。「リアクション経営」にならないための本です。読みやすいので、「竹下塾」入門におすすめです。


ストーリーとしての競争戦略 Hitotsubashi Business Review Books
こちらも楠木建さんによるもの。ユニクロ柳井さんはじめ多くの著名経営者の参謀をしてきたからこそ得られた知見が満載。


「ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密」
ちょい流行り系だが、こちらも競争戦略の本、業種は違うがヒントがたっぷりなのでおすすめです。社員のストレスになることは、「しない」という経営について。


「直観と論理をつなぐ思考法」
結局はものの見方で決まる!いわゆるVUCA時代の経営の考え方の一つで、個人的に共感した本です。

さらに読んでみたい方のためにもう少し。

「投資される経営売買される経営」
上場会社の長期的な企業価値向上についての考え方、投資家との向き合い方など非常に参考になります。こういう本は今までになかったので、おすすめ。

組織の未来はエンゲージメントで決まる
スターバックスやザッポスなど世界の成長企業が重要視する「エンゲージメント」についてよくわかります。

いかがでしょう?「竹下塾」の雰囲気が少しでも伝わればいいのですが。

──フクロウラボ の経営陣が実際に読んでいる本だと思うとまた見え方が違いますね。年末年始に読む本がたくさん見つかりそうです。

これからの「竹下塾」

──2021年も終わろうとしていますが、これからの「竹下塾」の展望があれば聞かせていただきたいです。

地道に長く続けていきたいなと思っています。続けていけば、必ず思考能力は磨かれていきますし、整理されていくと考えているからです。そして、自由な雰囲気でやっていきたいですね。知識としてもためになりますし、本を読むことそのものが素晴らしいことですから、社員の方にもどんどん参加していただきたいです。

最後に、社外に公開する予定はないのですか?と聞いたところ「それは清水さん次第ですね」と笑っていた竹下さん。このnoteでも、また「竹下塾」の選書リストを公開したいと思います。

(写真・文:出川 光)