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誰かをハッピーにするために技術を磨く。それが「コトに向き合う」こと。

誤解を恐れずに言えば、私が迷子になったら道を聞くのはこの人だろうな、というのが第一印象でした。そのくらい、温かで誰でも迎え入れてくれる雰囲気を持つ渋谷秀行(しぶや・ひでゆき)さん。聞けば、Slackでそのお名前を検索するとお礼の言葉の嵐なのだとか。フクロウラボで「Circuit X」の開発・改修を手掛ける彼にフクロウラボのバリューについて、お話を聞きました。

「コトに向き合う」から、
その時動けばいいというコードは書かない

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──いままでのキャリアを教えてください。

新卒からエンジニアをやっていて、13年間ずっとエンジニアをしています。

──そうなんですね!フクロウラボに転職したきっかけはどんなことだったのでしょう。

それまでの会社は、納品すること、納期どおりに終わらせることに重きを置いていて、「いいコードを書く」ことの優先順位が高くありませんでした。また、技術的なことでわからないことがあってもひとりで解決しなければならない場面も多くて。いいコードを書きたい、チームで開発したいという思いから転職を考えました。

──フクロウラボに入ってみて、それが叶ったという実感はありますか?


そうですね。入社する前にエンジニアの皆さんとお会いして、この人たちとなら一緒に働きたいなと思いました。その期待通り、壁に当たった時はSlackにそれを相談するとすぐに誰かが助けてくれて、チームで働いているなという実感があります。

──今回のインタビューはフクロウラボのバリューについてなのですが、働いていてバリューを意識するのはどんな時でしょうか。

先ほどの話につながりますが、「コトに向き合う」をエンジニアの仕事に置き換えると「いいコードを書く(最良なコードを書いて問題を解決する)」ことになると思うんです。(会社の成長フェーズにもよりますが、)その時動けばいいや、とか、問題だけ解決できればいいや、ということではなく、わかりやすい、改修しやすい、保守しやすい、など本質的な「いいコード」に向き合って仕事をできていると思います。そしてそれが一番やりたかったことなので、ありがたいなと思いながら働いていますね。

──「コトに向き合う」ができたなと思うエピソードはありますか?

自分が関わったタスクをやりきることや、思いをこめてやることをいつも意識しています。もう少し具体的なことでは、過去に問合せ当番というものがあって。提供しているサービスにきた問合せなどで技術的な質問を当番制でエンジニアが受けるものなのですが、ただ質問に答えるだけではなく、その質問の背後にある課題から聞くようにしています。そうすると、本当にやりたかったことや端折られていた本質的な課題が見えてくる。それに対して解決策を提示できた時には、「コトに向き合う」ができたなと思います。

「しまうま」ができる強いエンジニアになりたい

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──フクロウラボには、バリューの他に開発チームの行動指針もあるのだと聞きました。

そうなんです。僕が入ったばかりの合宿でみんなで意見を出し合い、投票して決めた思い出深い行動指針です。どれも気に入っているけれど、自分自身がこうならなければという意味もこめて意識をしているのは、「しまうま」、視野を広く持って働くという意味の行動指針です。一瞬「えっ」と思わせるワーディングも気に入っているんです。

──この行動指針を意識しているのはどうしてなのですか?

気をつけていても、どうしても視野が狭くなってしまうことが多くて。それで不具合の原因を見落としてしまうことが時々あるんです。技術力が高いエンジニアのことをよく「強い」と表現するのですが、視野を広く持って、もっと「強い」エンジニアになりたいなと思っています。視野を広く持ってもっと技術を磨いていけば、もっと「コトに向き合う」ができるのではないかなと思うんです。

強いエンジニアになってやりたいことは、誰かをハッピーにすること

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──さきほどのお話で「コトに向き合う」ことはいいコードを書くこととして捉えていると伺いました。その先で実現したいことはどんなことなのでしょう。

うーん......(しばらく考えて)喜ばれるものを作って、誰かにハッピーになってもらいたいからだと思います。実は最近、なぜエンジニアをやっているのだろうと自問することがあってたどりついたひとつの答えがこれなんです。すごいものを作ることよりも、人を幸せにしたい。そのためにエンジニアとして人が仕事をしやすくなる環境をつくれば、ハッピーの総数を増やせるのではないかと考えるようになったんです。

──なるほど。人の仕事をしやすくするという面で挑戦していることなどはありますか?

ギブアンドテイクの精神で、いつでもみなさんの力になれるように準備しています。技術的なことでいつも教えてもらったりしているので、それをもらうだけではなく、何かを提供できる存在になろうと努力しています。開発チーム全員で心がけていることですが、「僕でよかったらいつでも聞いてください」と周りに公言しておいたり、話しかけてもらいやすい雰囲気を作ったり。おかげで頼ってもらうことがあって、嬉しく思っているんです。この間はGmailの設定で困っているメンバーを助けてありがとうと言ってもらえて。そういうことでも、役に立てたんだと思えると嬉しくなります。

──渋谷さんが、社内でたくさん「ありがとう」を言われていると実は前々から聞いていました。今のエピソードを聞いて納得です。これからやってみたいことなどはあるのでしょうか。

若い頃は、漠然と大きなサービスを作りたいと思っていましたが、最近は変わってきました。今お話したような誰かに喜んでもらえるシーンの数と、深度を増やしていけたらいいなと思っています。まだまだ未熟なところがあるので、頑張らないとですけれど。


中学生の頃からコンピューターが好きだった渋谷さんは、「コンピューターがあればなんでもできるな」と思っていたのだそうです。大人になってその夢を叶えて、なんでもできる技術を手にした時、誰かをハッピーにすることを優先順位一位に置いた渋谷さんと働いたら、毎日が幸せでいっぱいになりそうです。

(写真・文章:出川 光)