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「どっちが偉い」なんてない。互いにリスペクトするフクロウラボの営業と開発の関係

作っている方が偉い?売れる方が偉い? フクロウラボではこんな考えは全くないようです。ただ優しくし合うのではなく、同じ目的にむかってお互いをリスペクトし合いながら働くフクロウラボの営業と開発。営業チームを統括する有岡 卓哉(ありおか・たくや)さんと、開発チームの川原 在智(かわはら・ありとも)さんにお話を聞きました。

営業チームの誰でも、開発チームに相談ができる


お話をきいた、有岡さん(写真中央)

──まずはおふたりの自己紹介をお願いします。

有:有岡です。フクロウラボに創業期からジョインし、2017年から執行役員として営業部の統括の、Circuit Xのプロダクトオーナーをしています。

川:川原です。3つある開発チームの中のひとつ「開発1」で働いています。主な業務は既存のCircuit Xに関わる開発です。

──ありがとうございます。今日はフクロウラボの中で、営業などのビジネスサイドと、開発がどのように連携して仕事をしているのか聞いてみたいと思います。おふたりは、営業およびプロダクトオーナーと、開発担当者として一緒に働いているんですね。

川:はい。Circuit Xに不具合があった時に営業から報告や相談を受けて対応したり、プロダクトオーナーである有岡さんと新規の機能開発を進めたりしています。

有:何か要望や新規機能を作る時には、その要件を考えるところまでが僕の担当、仕様策定からは開発にバトンタッチしていますね。

──フクロウラボの営業と開発の関わりでは、まず営業から上がる不具合の相談や要望などがありそうですね。会社によっては上長が取りまとめるところや、メンバーから相談を直接できないところもあると思いますが、フクロウラボではどんなフローになっていますか?

有:例えば、広告がうまく表示されない、計測ができないなどの不具合と思われるものを見つけたら、誰でも開発に相談ができるようになっています。相談のための窓口が決まっていて、Slackで投げると、その日に窓口を担当している開発の方が対応してくれます。

川:窓口の当番がまずは一次対応として不具合の調査をしたり、対応が必要なものがあれば得意な開発者に振り分けていきます。長期の開発が必要なものは、有岡さんにも判断を仰いで着手する順番や時期などを決めてもらいます。すぐに返事できるものなどは、その場で当番が返すことが多いですね。

──営業にとってはかなり心強い体制ですね。質問や相談の要件が揃っていないことなどはありませんか?

お話をきいた、川原さん(写真中央)

川:ありますね。けれど、足りない情報はこちらから訊けばよいので、大きな問題ではありません。それよりも、営業が開発に質問や相談をしづらい環境にならないよう、どんなことでも相談してもらえるようにしています。

有:とはいえ、Circuit Xは比較的システムが安定しているので、大きな不具合でクライアントに迷惑をかけることはありません。どちらかというと営業が運用でカバーできたり、不具合があって直る目処がわかっていれば事前に説明をするなどの対策がとれています。

川:開発としては、やはり社外に影響があるものは急いで対応をして、社内のみに影響があるものの対応のタイミングを融通してもらっているなと思います。有岡さんにお話してみて、OKが出たら少し待っていただいたり。

有:それがないと業務が止まってしまう場合は対応いただきますが、開発側では判断のつかない優先度や緊急度を伝えているイメージです。融通というより、当たり前のことをしているだけですね。

──お互いに配慮し合いながら効率よく開発を進めているんですね。

スクラムイベントに参加し、機能開発の要望の優先度を見極める

──機能開発はどうでしょうか?プロダクトオーナーとして新しく機能を追加したい時などは、どのようにコミュニケーションを取っていますか?

有:JIRAというタスク管理ツールのバックログにやりたいことを貯めていって、着手できるものから順にやってもらっています。中でも売り上げにインパクトがありそうなものは優先度を上げてもらっています。そうして優先度をつけているので、しばらくの間動いていないタスクもありますが、今はそれでいいと思っています。

川:フクロウラボではスクラム開発を取り入れていて、2週間のスプリントごとに振り返りをしながら開発を進めています。このスプリントの区切りで行うスクラムイベントというミーティングには有岡さんも参加していただき、どのタスクをやるかなどを共有しています。本来であれば毎日行っているデイリースクラムに参加していただいても良いくらいですが、そこまでお願いすると、重いのでこの形に落ち着いています。

有:スクラムイベントに参加するのはとても大切です。常に開発の動きをみているわけではないので、このミーティングの場で今何をしているかをキャッチアップしたり、こちらの優先度などを伝えて理解してもらう場にしています。

ただ優先度が高いと伝えるのではなく、そのタスクの中身を説明したり、細かいところを決めたりするのが開発しやすさにつながると考えているからです。また、ビジネスサイドからは見えづらい開発がやりたいこと──例えば保守やコードの変更などをこの場でキャッチアップして、その上でビジネスサイドの要望をどこまで優先するべきかを決めています。

──思い切って質問してみますが、ぶつかることなどはないのでしょうか?ビジネスサイドと開発は一般的に対立しがちな印象があります。

有:ないですね。強いていえば、急いでもらったり、スプリントからはみ出してしまうものを調整してもらえるようお願いすることがあります。開発の仕方についても、僕はコードを書けるわけではないので、要件までを決めてあとはおまかせするようにしています。

川:開発から見ると、営業の方が運用でカバーしすぎているのではないかと思うほどです。人力でやってもらっているけれど、開発すれば機能化できる仕事もたくさんありますが、まだまだ開発の手が回っておらず、申し訳ない気持ちです。

さきほど有岡さんが「僕はコードを書けるわけではない」と仰いましたが、こちらからすればクライアントの声を聞けるのは営業だけです。その声から着想して要望を伝えてもらうことがとても重要だと思っています。

また、結果が見えづらい技術負債の返却などに理解をいただいているのもありがたいです。おかげで3、4年かけて技術負債を返却しつつあり、新しい開発が始められるフェーズになってきています。

有:これも、必要なことですからね。ありがたいと言っていただけるのは嬉しいけれど、感謝してもらうことではないなと思いますよ。

同じものを目指すビジネスパートナー

──ただ配慮し合うだけではなく、お互いの仕事を理解して、一緒に進めている様子が伝わってきました。仕事をする上で、お互いをどんな存在だと感じていますか?

有:ビジネスパートナーとして、同じものを目指しているもの同士だと思っています。開発が作ってくれなければ売り物がないですし、営業に力がなければ売れない。どちらにも上下はなく、対等でフェアな関係だと思います。

これまで経験した会社と比べると、そのバランスがいい意味で違うのがフクロウラボの特徴だと思います。また、営業のメンバーと開発のやりとりを見ていると、彼らも同じように感じているのがわかります。

──それは、有岡さんがそういう指導をしているからなのでしょうか?

有:特別何かを伝えたことはないですね。おそらく、清水さんがそういう接し方をしているので、それが当たり前になっているのだと思います。

──川原さんはいかがですか?

川:営業のせいでコードが書けないと思ったり、対立したりしたことは全くないですね。営業の方は、対応して欲しいことや欲しい機能はたくさんあるのだと思いますが、それを我慢させてしまっている部分があるので申し訳ないなと思っています。機能を良いものにしていくことで、営業の仕事や売り上げに役立てたらいいなと思っています。

不具合は、起きても言うのが面倒なので、言わないでいる方もいるのではないかと思います。軽微な不具合であればあるほど、そうなりがちですよね。開発としては、自分たちで気づけないバグもあるのでなんでも行ってもらえるように頑張りたいと思っています。

業務外の「遊び」が関係構築の秘訣

──このFukurou Magazineを読んでいる方の中には、ビジネスサイドと開発の関係に悩んでいる組織にいる方もいるかもしれません。この関係の秘訣があれば教えてください。

有:フクロウラボは業務外のイベントが多く、部署を超えて楽しめるのが関係値を作るきっかけになっているのではないでしょうか。「料理部」という業務後に料理を作って楽しむイベントや、社員旅行などで顔を見て一緒に遊んだことがあると、何か問題があっても相手を責める気持ちが起きづらいのではないかと思います。

コロナ禍になっても、朝の朝礼では10分くらい発表者の趣味を聞く時間をもうけています。一見無駄にみえる交流が、チームワークにつながっていると感じます。

川:確かにそうですね。話しかけるきっかけにもなっています。僕は、リスペクトを持つことが大切だと思います。ただリスペクトするだけではなく、自分もリスペクトされるために仕事に責任を持つことです。

スプリントの内容を守る、守れない場合は納得できる説明をするなどといった基本的なことが大切だと思います。開発は、はたから見れば「カタカタキーボードを打っているが何をやっているのかがわからない」という印象を持たれがちです。だからこそ、ちゃんと説明してわかっていただくのもお互いをリスペクトするために必要だと考えています。

──ありがとうございます。新しいオフィスもワンフロアで、お邪魔した時に開発と営業が楽しそうに話しているのをみかけます。これからもいい関係が続きそうですね。

有:そうですね。開発がいつも10人くらいでランチに行くの、すごいなと思っていました。あれには敵いませんが、一緒にランチをしたりして交流を深めていきたいですね。

川:いいですね。今年はたくさんいきましょう!

(写真・文:出川 光)

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