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変化から目をそらさず学び続ける。フクロウラボのCTOとして伝えたい「仕事の心がけ」

フクロウラボのメンバーに仕事で心がけていることについてインタビューする人気シリーズ。今回はCTOとして活躍する若杉 竜一郎(わかすぎ・りゅういちろう)さんにお話を伺いました。ひとりのエンジニアとして、フクロウラボのCTOとして、仕事に対する意識はどのように変化してきたのでしょうか。ご自身のキャリアと共に、「仕事の心がけ」を振り返っていただきました。

「作る楽しさ」を忘れずに。がむしゃらに勉強した20代

──まず、若杉さんがエンジニアになったきっかけを教えてください。

エンジニアになったきっかけは、実は成り行きでした。20代の頃は受託制作会社でFlashデザイナーとして働き、eラーニングのゲームを作っていました。その会社でエンジニアをやってほしいと社長に頼まれたのがはじまりです。

エンジニアに憧れていたのではなく、適性があるとも思っていなかったので、最初は目の前にある業務を何とかこなそうと必死でした。依頼された仕事をきちんとやり遂げられるのか、失敗したら先方や会社に迷惑がかかってしまうのではないかと、常に危機感がありました。少しでもスキル不足を補おうと、がむしゃらに勉強していました。

──どんな風に勉強していたのでしょうか?

書籍を使って勉強していました。昼休みに近くの書店に行って、仕事に役立ちそうなサンプルやコードを調べ、会社に戻って実装する。そんなことを繰り返し、少しずつエンジニアリングの知識を身につけていきました。

JavaScriptやPHPなど、当時の主流であった言語を自信をもって使いこなせるようになってからは、新しい技術のキャッチアップに注力するようになりました。最先端の技術情報に関しても、書籍から学ぶことが多かったです。当時、株式会社はてなに在籍していた伊藤直也さんが、ご自身のブログで技術書の紹介をしていたのに影響を受け、私も自分の小遣いのほとんどを技術書に費やし、勉強に励んでいました。当時(2006〜2007年)は日本語のオライリー書籍はさほど多くなかったので、オライリーの書籍はほとんど読んだのではないでしょうか。

その後、渋谷のインターネット広告の企業に転職してからは、優秀なエンジニアの方々に囲まれた環境ということもあり、関わっているプロダクトについてのディスカッションや社内勉強会などを通じて、書籍ではなく環境からノウハウを学ぶようになっていきました。インターネット上の情報に頼るより、自身の体験から得られる一次情報のほうが有益であると感じ、環境からの学びを重視するようになりました。

──20代の頃、エンジニアリングの勉強のほかに心がけていたことはありますか?

仕事に必要な技術を学ぶ一方で、プライベートではメディア運営など個人のプロジェクトを行っていました。少人数のエンジニアが毎週のように新しいウェブサービスをすごいスピードで作っては発表するというのが当時のトレンドであり、私も影響を受けたうちの一人。仕事が終わってからの時間や休日を使い、自分が「作ってみたい」と思うメディアやウェブサービスを自由に作っていました。まるでレゴブロックで遊ぶように、仕事とは違った感覚でサービスを作る「楽しさ」も大事にしていました。

フリーランスになって気づいた
マネジメントの重要性

──20代から30代になり、仕事に対する考え方が変わった転機はありましたか?

意識が大きく変わったのは、フリーランスになった時です。20代の頃は、自身の成長を目的に、パフォーマンスをいかに発揮できるかや、ベストな納品物を作り込むことを一番に考えていました。ですが、フリーランスになってからは、予算や時間の制限がある中でどう成果を出すのか、ビジネスとしての成功を追求するようになりました。

フリーランス時代の後半になると、いわゆる“起業家マインド”が強くなりました。ビジネスコンテストに応募したり、知り合いの起業家に話を聞きに行ったり、世の中でどんなサービスが流行っているのかを考えるようになったのです。キャリアと年齢を重ねることで視野が広がり、仕事に対する心がけが大きく変わっていきました。

──フリーランスとして活躍するには、技術的なこと以外にも気を配る必要がありますものね。

まさに、セルフマネジメントの重要性を実感しました。何でも安請け合いをしてしまっては、自分が辛くなってしまうだけです。何をどこまでやるのか、いくらでやるのか、きちんと見積もりを出して先方と交渉して話をつけてから仕事をする。自身の事業を通して、マネジメントの意識が生まれたのがフリーランス時代でした。

ひとりのエンジニアからCTOへ。
大切なのは、伝え続けること

──フリーランスを経てフクロウラボに入り、CTOとしてのキャリアがスタートします。若杉さんの現在の「仕事の心がけ」について教えてください。

エンジニアとしての心がけは、学習し続けることです。技術は常に進化を続けます。5年前のスキルが今はもう通用しないのが当たり前なのです。だからこそ、次の新たなゲームチェンジが行われるまでに新しい技術を学習し、アウトプットできるように訓練する。技術は常に進化し続けているのでエンジニアでいる限りこの繰り返しです。学び続けることが、エンジニアの仕事だと考えます。

──ベテランの若杉さんでも、勉強の必要性を感じる場面があるということでしょうか?

もちろんです。今も危機感を持って勉強を続けています。最近は、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)やディープラーニングなどについて勉強中です。今はプログラムやアプリケーションの処理など、様々な開発にもカジュアルにLLMが使われる時代になってしまいました。つまり、生成AIの台頭によりプログラムやシステム設計の根本から変わってくる可能性が高いということ。実際に手を動かしながら最新技術を学んでいます。また、フクロウラボのプロダクトに使われているクラウドは、数週間に一度は新しい機能が出てくるので、乗り遅れないために情報をキャッチアップしようと心がけています。
こうした学びに対する姿勢は、がむしゃらに勉強した20代の努力があったからなのかもしれませんね。

──ひとりのエンジニアとしてではなく、フクロウラボのCTOとして心がけていることはありますか?

チームマネジメントや後進育成においては、「カルチャーの醸成」を意識しています。技術スタックが進化していくように、必要とされるスキルや人材も会社の成長と共に変化していきます。CTOとしての私の役割は、フクロウラボが目指す先を定め、その方向性をカルチャーに落とし込み、働くメンバーにそれを伝えることです。
学習の重要性や組織力の強化は、ただ口で言うだけではカルチャーとして浸透しません。勉強会やエンジニア合宿などを一緒に参加し、共通のの体験からその必要性を実感してもらえるように心がけています。

──組織の成長に合う人材を育成したり、その環境を整えたりするのには多くの苦労があるかと思います。メンバーひとりひとりの意識を変えていくのは、大変なのではないでしょうか。

人によって成長速度はさまざまで、最初から高い意識を持って仕事に臨む人もいれば、後から意識が芽生えてくる人もいます。

私が一番変わったなと思うのは、開発部門のメンバーである平尾ですね。フクロウラボに入社したばかりの彼は、今ほどエンジニアの仕事や技術に対する熱意はなかったと思います。それでも僕はとにかくエンジニアにとって大切な心がけを彼に伝え続けました。「これから先もエンジニアとしてやっていくのであれば、興味をもって勉強したほうがいい」。そう伝え続けたことで、次第に考え方、働き方が変わっていったように感じます。
人の意識を変えることは難しいですし、おそらく彼の中でも何か変わるきっかけや環境の変化などもあったと思いますが、根気強く伝え続けることで意識が変化することもあるのだと、彼の成長ぶりを見て学びました。

変わることを受け入れる。
「仕事の心がけ」は誠実であること

──ご自身のキャリアと共に、時代ごとの「仕事の心がけ」を振り返っていただきました。改めて、働く上で大切にしていることは何でしょうか?

FlashデザイナーからCTOになるまで、20年以上の時が流れました。その間、幾度となく技術的なトレンドの変化を目の当たりにし、おおよそ3〜5年の周期で求められるスキルが変わることを実感します。そしてその度に、必死で勉強に励んできました。
大事なのは、どんな変化に対しても「誠実であること」です。変化から目をそらさず、真摯に向き合い、時には積み上げた技術スタックを捨て、自身の成長に努めることが何よりも大切だと感じます。

メンバーやフクロウラボに入社したいと考えている人たちにとって、今回のインタビューが意識を変えるきっかけになったら嬉しいです。

(写真・取材:出川 光)

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