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フクロウラボの新たな推進力になる。AI&テクノロジーオペレーションチームが担う役割

2023年10月に発足した、AI&テクノロジーオペレーションチーム。フクロウラボのAIによる業務効率化を目指し、短期間でさまざまなツールを開発しました。今回お話を伺ったのは、チームのマネージャーである若杉 竜一郎(わかすぎ・りゅういちろう)さんと、AI推進の旗振り役として活躍する平尾 翔太(ひらお・しょうた)さん。チーム発足のきっかけやここまでの成果、そしてこれからの展望を語っていただきました。

AI推進に向け、新チームを発足。立ち上げまでの道のり

お話を聞いた、若杉さん。

──まずはお二人がAIに興味を持ったきっかけを教えてください。 

若:個人的に2022年に話題となったStable Diffusionなどの画像生成AIに注目していました。その後、2023年にChatGPTやLLMなど大規模言語モデルが流行りはじめ、興味を持つようになり、フクロウラボでも積極的にAIを取り入れていこうと考えました。

平:2023年の2月頃からKaggleを使いはじめ、深層学習や機械学習への関心が強まり、フクロウラボでも輪読会や勉強会を開催するようになりました。そこからChatGPTのような生成AIにも興味を持つようになりました。

──フクロウラボでAI技術が業務に取り入れられたのは、いつ頃からでしたか?

若:2023年の3月頃から段階的に取り入れていきました。エンジニア向けにGitHub Copilotを採用しコーディング作業を手助けしたり、誰でもOpenAIが公開するChatGPTのAPIを使えるようにしたり、少しずつ体制を整えていきました。

──そして、2023年10月にはAI&テクノロジーオペレーションチームが発足しました。チームの紹介と、立ち上げの経緯を教えてください。

若:AI&テクノロジーオペレーションチームには、現在4名のメンバーが所属しています。チームの役割は主に3つ。AIの推進、情報システム、クラウドセキュリティの整備を目的としています。

正式にチームが立ち上がったのは2023年10月ですが、4月頃からAIの推進に向け、新しい組織を作ろうと動きはじめていました。しかし、ほかの業務と兼任ではどうしても優先度が下がってしまい、思うように進められずにいたのです。推進力を高めるためには専任の組織を作りリソースを確保しなければと、正式にチームを発足させました。

──そのメンバーに平尾さんがアサインされたのですね。その時のお気持ちはいかがでしたか。

平:AI&テクノロジーオペレーションチームにアサインされ、AIの推進に専念できる環境が整ったことがとても嬉しかったです。深層学習や機械学習の勉強だけでなく、AIの知識をより深掘りして学べるだろうと期待感が高まりました。

業務削減を成功させた、社内AIツールの開発

──現在、AI&テクノロジーオペレーションチームではどのような活動を行っているのでしょうか。チームで作成されたAIツールのご紹介をお願いします。

お話を聞いた、平尾さん。

平:ひとつは、メディアが公序良俗に反しているかどうかを自動で確認できるツールです。Circuit Xを利用するメディアのウェブサイト内のコンテンツに公序良俗に反している内容が含まれていないかを自動的にスコアリングできるAIツールを開発しました。これまでは管理部がひとつひとつのウェブサイトを目視でチェックしていたのですが、このAIツールを導入したことで作業量を大幅にカットし、さらに定期的にCircuit Xが掲載されているサイトの健全性を把握することができるようになりました。

もうひとつは、Circuit Xを利用する広告主のアプリ説明文を自動的に設定するAIツールです。これまでは説明文の項目がなく、簡単なカテゴリを手動で設定するしかありませんでした。しかし、このツールを導入したことで、詳細な説明文を自動で設定することができ、情報の更新もしやすくなりました。また、これに併せて検索機能を拡張し、説明文にある単語までヒットするようになったことで、メディア側も自身のメディアの特性に合ったアプリやキャンペーンを探しやすくなりました。

──Circuit Xの広告掲載業務の効率化を叶えたのですね。そのほかに、事例はありますか?

若:AWSアドバイザーという、Slack上でQ&AができるAIチャットボットを導入しました。これはエンジニアがAWSの扱う上での高度な疑問点に対して回答を返してもらえるもので、これまでは社外の技術顧問に依頼し、質問の回答をいただいていたのですが、AIに切り替えることでレスポンスまでの時間削減はもちろん、回答数に制限なくエンジニアが気軽に質問できるようになりました。顧問料を削減することもできました。また、AWSは細かい仕様など日々アップデートしているのですが、このAIチャットボットはウェブ上で最新情報を検索して回答を生成してくれるので、情報の精度や知識量が格段に上がったと感じます。

AIの推進が、見過ごされていた課題を解決するきっかけになる

──この短期間で複数のAIツールを導入されましたが、現時点での手応えはいかがですか?

平:概ね好評を得ています。特に、AWSアドバイザーは精度も上々で私も頻繁に利用しています。もし回答に誤りがあったとしても、付随するリンクや関連ドキュメントを参照すれば、すぐに問題を解決できるので便利です。社内の利用率は、一日に数十回程度。ひとつの議題に対し、Slackのスレッドでさらに続けて質問を投げかけ、知識を深掘りしていく人が多いようです。

──若杉さんはいかがですか?

若:チームを発足して間もないですが、順調に進められていると思います。メディア確認ツールやアプリ説明文を設定するAIツールでは工数を、AWSアドバイザーでは時間とコストを減らすことができました。社内のメンバーからも、作業効率が上がったとの声が届いています。そして、「こんな課題をAIで解決できないだろうか」と、新たな相談がさまざまな部署から届いています。

平:今回、AI&テクノロジーオペレーションチームを発足するにあたり、AIに関する問合せ窓口を社内に設置しました。たくさんの相談が届きましたが、中にはAIを使わず簡単なシステムを組めば課題を解決できるものもありました。AIの推進はもちろん、それをきっかけに、これまで拾いきれていなかった細かな課題を解決できたことも、よかったなと感じます。

フクロウラボの事業拡大に寄与するチームを目指す

若杉さん、平尾さんと開発部のみなさんと。

──メンバーの声を反映し、課題を解決する。これからますますその循環が活性化しそうですね。今後、チームはどのように発展していくのでしょうか。

若:少しずつメンバーを増やし、リソースを確保していけたらと考えています。

平:今はAIや機械学習に詳しいメンバーがおらず、手探りの状態で進めているので、機械学習や深層学習を専門に扱ってきたプロの方と一緒に働けたら嬉しいですね。

──AIでフクロウラボの事業全体を盛り上げるために、チームで目指していることはありますか?

若:まずはひたすらAIの推進に尽力し、業務効率化を進めたいです。例えば先ほどお話ししたAWSアドバイザーと同じ形式で、社内のデータベースを参照して社内の情報に関する質問に回答できるAIチャットボットを作ったり、アダルトチェッカーの仕組みを利用して、PR表記に関する自動判定ツールを作ったりと、さらにフクロウラボの業務を促進できるAIツールを開発していきたいです。最近では、RAG(Retrieval-Augmented Generation)という生成AIがKnowledgeベースを参照し回答を生成する仕組みを、社内の業務効率化を目的として構築している会社さんは多いと思いますが、フクロウラボでも独自のRAGの構築を検討しています。関連して少し前に、弊社のエンジニアブログにRAGについてのブログ記事も書いたりしています。

平:AIの推進をするには、まずは社内のメンバーに私たちが何をしているのかを知ってもらう必要があります。そのためには、AIの価値を結果で示さなければなりません。他部署から届く課題をヒアリングし、新たなAIツールを開発して実際に使ってもらう。そして、フィードバックを受け、より精度を高めていく。そのPDCAをより速くしていきたいです。

──チームの働きにより、未来のフクロウラボにどういった貢献をしたいですか?

平:AI&テクノロジーオペレーションチームが開発したAIツールが、フクロウラボの売り上げにつながれば嬉しいです。「ただ作って終わり」ではなく、きちんと数字として効果が表れるものを作り、会社の成長に貢献できたらと思います。

若:平尾さんが言う通り、私たちの最終的なゴールは、AIを用いて売り上げに貢献し、会社の成長につなげることです。加えて、生成AIの活用事例として、私たちの取り組みが社外にまで認められたら理想的ですね。フクロウラボのAI活用はまだ始まったばかり。AIの可能性を信じ、それがフクロウラボの成長につながるよう前向きに取り組んでいきます。

(写真・構成・取材:出川 光 文:日比 佳代子)

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